だんご虫ヒーロー。
「…綾女も雪菜ちゃんも朝早くからご苦労様。でも、どうやって来たの?」
綾女と雪菜ちゃんの頭を優しく撫でる。
先に私から離れた雪菜ちゃんは、真っ直ぐに尾口先輩を指差した。
「航ちゃんの運転で来たの!航ちゃん、最近車の免許取ったって言うから、運転をお願いしたの」
雪菜ちゃんにお願いされて満更でもないのか、尾口先輩は鼻を高くして調子に乗っている。
だが綾女が顔を上げ、尾口先輩を思いっきり指差した。
「聞いてよ李!尾口先輩、『俺に任せろ』とか言うから頼んだのに、運転めっちゃ下手なんだよ!?
空港に生きて辿り着いたのが奇跡なくらいだよ!」
尾口先輩には申し訳ないけど、それは何となく想像出来てしまった。
綾女の言葉に尾口先輩は「綾女ヒドくね!?」と涙目で夕里に抱きついている。
夕里はドン引きして、尾口先輩を引き剥がそうとしてる。
「夕里ぃ〜」と泣きついてくる尾口先輩を引き剥がし、夕里は綾女と雪菜ちゃんのところへやって来た。