だんご虫ヒーロー。



「…全く、綾女やり過ぎ」



保健室に着いて彼をベッドに寝かせ、近くにあった椅子に座る。



綾女は苦笑いしながら椅子に座る。



「えへへ。この前テレビでプロレス見たら、こんな感じの技やってたから…私もやってみたくて、つい」



そんな可愛く頭掻いたって、やったことはプロレスだからね?



プロレスはお父さんが好きだから時々見るけど、あんなに完成度の高い逆エビ固めは初めて見た。



次は是非、尾口先輩にしてあげて欲しい。



「………ん……」



綾女にお説教してると、気を失っていた彼が目を開けた。



辺りをキョロキョロ見渡して笑顔の綾女を見ると、恐怖を覚えていた体がピクッと反応した。



「…あの、さっきはこの子が痛いことしてごめんなさい。
ただの好奇心だったみたいで……」


「…ごめんね!」



手を合わせ、頭を下げる綾女。



というか私がなんで綾女を庇わないといけないんだ。


< 437 / 554 >

この作品をシェア

pagetop