だんご虫ヒーロー。
「…全く、綾女やり過ぎ」
保健室に着いて彼をベッドに寝かせ、近くにあった椅子に座る。
綾女は苦笑いしながら椅子に座る。
「えへへ。この前テレビでプロレス見たら、こんな感じの技やってたから…私もやってみたくて、つい」
そんな可愛く頭掻いたって、やったことはプロレスだからね?
プロレスはお父さんが好きだから時々見るけど、あんなに完成度の高い逆エビ固めは初めて見た。
次は是非、尾口先輩にしてあげて欲しい。
「………ん……」
綾女にお説教してると、気を失っていた彼が目を開けた。
辺りをキョロキョロ見渡して笑顔の綾女を見ると、恐怖を覚えていた体がピクッと反応した。
「…あの、さっきはこの子が痛いことしてごめんなさい。
ただの好奇心だったみたいで……」
「…ごめんね!」
手を合わせ、頭を下げる綾女。
というか私がなんで綾女を庇わないといけないんだ。