だんご虫ヒーロー。



『その髪色、俺は好きだよ』



って言ってくれたの。



それから好きになったこの髪色。
それを今、汚い先輩達によって汚されようとしてる。



「…や、いや、やめて…!」



立ち上がって逃げようとしてもさっき叩きつけられて変に手をついたせいで動けない。



動いてあたしの手、身体。
こんなことで夕里に気に入られた髪色を失いたくない。



あたしの抵抗も虚しく、武井りかの手によって上に持ち上げられる。



やだ!助けて、誰か!



その瞬間、黒のペンキの入った缶が振り下ろされた。



咄嗟に目を瞑る。



もうダメだ、夕里には会えない。
こんな姿じゃ何言われるか分からない。



ビシャ



ペンキがぶちまけられた音がした。
でもあたしにかかった感じはしなかった。



一体何があったの…?



目を恐る恐る開けると、目の前に誰かがあたしに覆い被さっていた。



うそでしょ…何でここにいるの…?


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