だんご虫ヒーロー。



若干震える綾女の手を握り、斎賀くんを見つめる。



「…北村さんが他の人を利用して夕里から女子を遠ざけてたのが分かってたのに、なんで斎賀くんは止めなかったの?」



斎賀くんは少し目を見開いて私を見た。



でもやがて下を向いて、布団をギュッと握った。



「…止めたかった……でも俺は元々あまり喋らないから……どう紗奈を止めたらいいのか、分からなかった…」



なるほど。要は不器用なんだ、彼は。



行動しなきゃと思っても、その一歩が踏み出せない。



北村さんのあの強気な性格だから、きっと言いにくいんだ。



だから困ってる人を助ける私に頼ったってところか。



斎賀くんはきっと、私に頼むために勇気を振り絞ってきてくれた。



布団をギュッと握る手が震えてる。



「…先輩達が紗奈から離れて……それから紗奈は一気に暗くなった…
紗奈のしてきたことも…学校の女子に広まった…」



北村さんのしてきたことが、学校の女子に広まった?



一体どういうこと?


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