だんご虫ヒーロー。
あたしにいい事なんて一つもなかった。
強いて言うなら、多額のお金を持っていたことくらいだった。
だからお金を利用した。
高い物買って身につけて、羨ましがられ、それを買ってあげる。
そしたら人なんてハエみたいにあっという間に寄ってきた。
でもそれもすぐに終わる。
『調子に乗んな』と言われ、いじめられる。
それで周りの奴らはあたしから遠ざかる。
それに止めを刺すようにあたしの心に突き刺さる、母親の言葉。
『…アンタ、もうとっくに死んだかと思った』
死にたいと思った。
だから死のうとした。
でもそんなあたしの傍に夕里がいてくれた。
夕里があたしにいつも笑いかけてくれて、手を差し伸べてくれた。
あたしに生きる希望を与えてくれた。
希望なんて、お金じゃ買えないんだよ?
だから希望を信じて、夕里だけを見てきた。