だんご虫ヒーロー。



「…篠山さん、膝と手についた血液を洗いましょう。
血液感染する恐れがあるので、消毒も。
ついて来てください。

他の皆さんはせっかく来てくださったので、部屋を用意しました。
北村さんが目を覚ますまで、そちらでお休みください」



根元さんの適確な指示により、綾女達は用意された部屋へ案内された。



そして私は根元さんに血液を洗ってもらった。



「…篠山さん、久し振りですね。
まさかこんな形で再会するなんて、思ってもみませんでした」



私の膝についた血をガーゼで洗いながら、根元さんはクスッと笑った。



「…私も本当に驚きました」



私も一緒になってクスッと笑う。



手についた血も落としてくれて、カーディガンやスカートについた血も軽く落としてくれた。



「……救急隊員の方が感激してましたよ?」


「……え?」



なんのことか分からなかった。
救急隊員の人に何か言った記憶もやった記憶もない。



自覚がない私を見て、根元さんはまたふっと笑った。


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