だんご虫ヒーロー。
「…李の背後から出てきたのは、泣いてる小5の妹だったんです。
涙が止まらなくて、ずっと声をあげて泣いてました」
お姉ちゃんどっか行かないで。
妹の結女(ゆめ)はそう言いながら泣いていた。
私は、何をしようとしてたんだろう。
妹を置き去りにして死のうとするなんて、最低なことをしようとしてた。
姉である私が守らないといけないのに。
「私は妹に駆け寄り力強く抱き締め、泣きました。
ごめんね、ごめんねって言い……なが…」
あれ?どうして?
私、また涙流してる。
昔話を先輩に話しただけなのに、記憶が昨日のことみたいに思い出してる。
「…ご、ごめんなさい……勝手に涙が……っ
おかしいな……もう、思い出して泣くことなんて……なかっ、た……のに…っ」
止まらない。
止めようとして無理に笑ってみせても、止まらない。
もうこの傷を抱き締めて、この先歩いて行くって決めたじゃない。
なのに今さら泣くなんて…
北村さんのがそんなに傷に響いたの?