だんご虫ヒーロー。
すると隣にいた先輩に優しく抱き締められた。
「……せん、ぱい?」
驚いて先輩を見ようとしても、先輩の顔が私の髪に埋まってて見えない。
先輩の後頭部に回った手が、私の頭を撫でる。
「…綾女。その涙はな、耐えきれなくなって溢れてきたお前の不安だ」
「……私の………不安?」
先輩が何を言ってるのか理解出来ない。
だって私には不安なんて一つもないよ?
「お前は過去の傷をしっかり見つめて生きようとしてる。
でも1人でこの大きな傷を抱えきれるのか、そんな不安があるだろ?」
言われてみれば、そうかもしれない。
この傷を頑張って1人で背負おうと思ってた。
でも私だけじゃ抱えきれないかもしれない、そうも感じてた。
だけどこれは私の問題だから、私が何とかしないといけない。
その気持ちの方が大きくて、不安はどこかに隠してた。