だんご虫ヒーロー。
この暖かさはいつも感じてた。
先輩はチャラくて、馬鹿で、いつも真っ直ぐに私にぶつかってきた。
最初はしつこいなと思ってた。
でもそんなしつこさが、いつの間にか私には不安を消す調味料になっていた。
先輩が私の名前を呼んで、隣にやって来るだけで訪れる、高鳴る気持ちと安心感。
今だって先輩に触れられて、涙が止まってる自分がいる。
そっか。私、先輩のこともうずっと好きだったんだ。
ずっと心のどこかにあった不安が消えて、自分の本当の気持ちが分かった。
目に溜まった涙を拭い、先輩を見つめる。
「…浮気したら、すぐに置いていきますからね?」
ニコッと笑ってみせる。
私の答えに少し驚いてる先輩。
でもやがてふっと笑って口角を上げる。
「安心しろ。俺は綾女しか、見てねぇから」
そう言って先輩は私の唇を奪った。
優しくて甘い、先輩の唇。
先輩。
この握られた手は絶対に離しませんから。
だから先輩もこの手を離さず、私と一緒に歩いて下さい。
先輩と歩くこの道が、私の人生そのものなんですから。
【side end】