だんご虫ヒーロー。



北村さんは涙目になって俯いてる。



私は北村さんに近付いて、北村さんの目に溜まった涙を手で拭った。



「…だから、夕里に告白出来なかった人達への償いとして、北村さんの想いを夕里に伝えて欲しい」


「………え……?」



北村さんは目を見開いて顔を上げた。



私は優しく微笑んで北村さんを見つめる。



「これで北村さんまで夕里に告白せずに自分の気持ちを押し殺してしまったら、何も変わらない。

北村さんには自分の気持ちに向き合って、これから先を歩いて欲しいの。だから……ね?」



私の夕里への気持ちみたいに、自分の気持ちを押し殺して欲しくない。



悪いことをしてしまったと思って、自分の素直な気持ちを押し殺して欲しくない。



北村さんの夕里への気持ちをちゃんと伝えて欲しい。



そうすればきっと見えてくる景色は変わってくると思うから。



これから先の歩く道や、夕里に夢中で見えてなかった周りのこと。



それがきっと見えてくるはずだから。


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