だんご虫ヒーロー。
しばらくこのままで頭を撫でられていると、こっちに向かって走ってくる北村さんの姿が見えた。
「…ご、ごめんね!呼び出しておいて遅くなっちゃって……
親といろいろ揉めてて……」
膝に手をついて息を整える北村さん。
親と揉めてた?
そこが気になったけど、北村さん本人が話すまで待ってないと。
焦りを閉じ込めて、北村さんに「今来たところだから」と笑顔で言う。
北村さんはホッと息をついて笑った。
その表情は明るくて、本当の北村さんの笑顔のような気がした。
それから急に北村さんは真剣な目つきになって、夕里を見つめる。
あ、私、もしかして邪魔?
私は少しずつ後ろに下がる。
「…李ちゃんにも聞いて欲しいの」
北村さんの一言で、私の足はピタッと止まった。
夕里を見つめたままの北村さん。
私は夕里の背中しか見えないから夕里がどんな表情してるのか分からないけど、きっと真剣な表情で北村さんを見ているに違いない。