だんご虫ヒーロー。
しばらく真剣な目つきをしてた北村さんだけど、やがてふっと柔らかく微笑んだ。
「……あたしね?ずっと夕里が好きだった。
独りぼっちだったあたしに手を差し伸べてくれたからじゃない。
夕里はヘラヘラしてるようで、実はしっかりしてて強い目をしてた。
あたしは夕里のその強い目に惹かれたし、憧れた。
夕里みたいに強くなりたいとも思ったの」
夕里の強い目。
時々私にも見せる、真剣な強い目。
そういえば夕里も言ってたっけ。
私の睨むような強い目に惹かれたって。
今笑うとさすがに空気が読めない人になるから、心の中で笑う。
「…どれだけ卑怯な手を使って甘い蜜をだして夕里を誘惑しても、夕里はあたしの元には来なかった。
それよりも他の花へと舞い降りた」
チラッと北村さんの視線が私に向いた。
他の花ってきっと私のこと指してるんだろう。
北村さんを見ると、北村さんはふっと笑って目を閉じた。