だんご虫ヒーロー。
「…私と友達になって下さい、北村さん。
私はそれだけで十分だよ」
「………え?ともだ、ち…?」
北村さんは目を見開いて頭を勢いよく上げた。
北村さん、私はね?
「…初めて北村さんと会った時、北村さんは私が人助けしてることを褒めてくれた。
私はそれがすごく嬉しかったの。
例えそれがあんなことをするために言っていたとしても。
だって私のしてきたことをちゃんと見てくれてる人がいたんだよ?
北村さんにとっては些細なことかもしれないけど、私にはすごく大きなことだった。
北村さんとなら仲良くなれるかもってずっと思ってたの」
だから、ね?
私は北村さんに手を差し出した。
「…私と友達になろ?紗奈ちゃん」
私がニコッと笑顔を見せれば、また紗奈ちゃんの目から溢れる涙。
さっきよりも大粒の涙が、紗奈ちゃんの頬を伝っていく。
紗奈ちゃんは震える手を伸ばして、私の手を取った。
「…こちら……こそ……っ
ありが、とう…っ……うぅ……ありがとう……すもも……ちゃ、ん……っ」
私への償いなんて少しずつやる必要ないんだよ?
私は紗奈ちゃんが前を向いて歩いて、更には私と友達になってくれればそれだけでいいんだよ。
紗奈ちゃん。
私達は友達なんだから、紗奈ちゃんはもう独りぼっちじゃないよ。
何かあれば遠慮なく頼っていいし、重荷を押しつけていいよ。
だから、独りで悩まないで?
私は泣き止むことのない紗奈ちゃんを優しく抱き締め、背中をさすった。