だんご虫ヒーロー。
「…あんたと夕里のこと!
聞いたよ、夕里追っかけてフランスの大学行くんでしょ?」
言ったのはきっとりかだ。
なんだか照れくさくて、俯きながらコクリと頷く。
私の照れを見て、紗奈は手足を思いっきり伸ばした。
「はぁ、もう羨ましいなー。
あ、でも夕里はこのこと知ってるの?」
私は首を左右に振る。
夕里には私が夕里を追いかけてフランスの大学に行くことを言ってない。
夕里に言ったのは、心理学系の大学へ進学することだけ。
テレビ電話した時に伝えたら、「李にピッタリだよ」と言ってくれた。
あと「李が足りない」とも言ってた。
それはさすがに恥ずかしくて照れ隠しとしてバカと言っておいた。
「…夕里には卒業式に言うつもり。
前は夕里に驚かされたから、その仕返しも兼ねて今度は私が夕里を驚かせる」
前は夕里にいきなりパリに行くなんて言われたから、今度はこっちが仕返す。
絶対夕里に言わないでよ?と、紗奈に口止めをしとく。
紗奈は「はいはい」と言ってたけど、何故か不敵な怪しい笑みを浮かべてる。
その怪しい笑みの意味を私が知るのは、卒業式になる。