だんご虫ヒーロー。
つまり2人は……
「……遠距離恋愛、遠恋だね!」
私が言おうとしたことを、綾女が先に言ってしまった。
「え、ちょ、何言ってんの!?
遠恋じゃないし!そもそもあたし達付き合ってなんか……」
慌てて訂正しようとしてる紗奈に、斎賀くんは一歩近付いた。
それに気付いた紗奈は言葉が止まり、斎賀くんを見上げた。
斎賀くんはいつも無表情だけど、今は真剣な目つきをしてるのが分かる。
「……な、何よ…」
紗奈はちょっと後ろに下がる。
斎賀くんは息を吸って吐くと、口を開いた。
「……俺は…遠距離でも大丈夫だから…
どこにいても…紗奈のこと想ってる…」
これも一つの愛の形。
斎賀くんの言い方が遠回しだけど、きっと紗奈が好きって言いたいんだろう。
首から頭に向かって、紗奈が赤くなった。
斎賀くんの気持ちが紗奈に伝わったんだ。
紗奈は目を泳がせて困ってる。
「…べ、別に……あ、あんたがそうしたいなら…そうすれば……?」
この返事は、イエスってことかな?
ツンデレの紗奈といい、不器用な斎賀くんといい分かりづらい2人だな。
でも斎賀くんに伝わったのか、斎賀くんは嬉しそうに笑ってる。
まぁ、お互いに伝わってるのならそれでいいか。
初々しい2人を見て、私と綾女は一緒に笑い合った。