だんご虫ヒーロー。
今までの距離を時間を埋めるように、夕里は私を強く抱き締める。
「……よし」
そして耳元に聞こえてきた、夕里の何かを決意するような言葉。
え?……よしって…?
分からずにいると夕里は私から離れて、真っ直ぐに見つめてきた。
「…ねぇ、李。
李はこの一年、俺がいつも近くにいなくてどうだった?寂しくなかった?」
寂しくないわけない。
私は首を左右に振った。
すると夕里は嬉しそうに微笑んだ。
「…俺もすごい寂しかった。
気付けばいつも李のことばかり考えてて。
今ごろ日本は何時で、李は何してるのかなって。
休みの日なんか李のこと考えて1日終わることだってあった」
夕里は私の頬を滑らせるようにして撫でる。
私は夕里から目が離せなくて、真っ直ぐに夕里を見つめ返す。
「それだけならまだいいけど、李は俺以外の人を好きになってないか、俺のこと忘れてないか。
そんなマイナスな考えも出てきた。
それであの紗奈の事件があって、すごく焦った」