だんご虫ヒーロー。



私が夕里から身を引くって言ったこと?
あれは夕里に聞かれているとは思わなくて、つい…



でもあれは夕里を信じてるから言えたことなんだよ?



そう目で訴えると、夕里は「分かってるよ」と言ってふっと笑った。



「…それから考えたんだ。
不安にならないような、李と繋がっている証拠が出来ないかって。

よく考えたけど、俺にはこれしか思いつかなかったんだ」



夕里はスーツのポケットに手を入れて、何かを取り出した。



夕里が取り出したのは、正方形の掌サイズの小さな箱。



その箱には器用にリボンが結ばれていた。



夕里からその箱を受け取る。



リボンに手をかけると、それはリボンの素材じゃなかった。



「…これは……紙?」



よく分からなくて夕里を見ると、夕里は「いいから開けてみて」と催促してきた。



紙を破かないように、慎重にリボン風の紙を解く。



クシャクシャになった紙を開くと、手が止まってしまった。


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