だんご虫ヒーロー。



…これって……



「……婚姻……届……」



紙に書いてあることを読み上げた。



クシャクシャの紙には『婚姻届』と書かれていて、既に夕里の名前が書いてあった。



「…きっとこんな演出したら、李にチャラいって言われるだろうなと思ったけど、これが一番驚かせるにはいいかなって」



頬を少し赤く染めて照れたように笑う夕里。



驚きと嬉しさが混ざって、涙が溢れてきた。



夕里は私から正方形の小さな箱を取ると、それを開けて私に見せた。



「…俺はまだお金もないし出世もしてないただの学生だけど、李には苦労をかけないように頑張るから。

……俺と一緒になってくれますか?」



片膝をついて私に差し出したのは、シンプルだけどとても高そうな指輪。



夕里は小首を傾げて私を見上げている。



止まることの知らない涙が頬を伝う。



私は一歩進んで、夕里に近付いた。


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