だんご虫ヒーロー。



「…夫婦は支え合って生きていくものでしょ?
だから私にも苦労かけていいんだよ?」


「……え、それって」



夕里は驚いて私を見る。



私は涙を拭かずにしゃがんで、ニコッと笑う。



「…私でよければ、お願いしま……」



最後の「す」は、夕里に抱き締められたことによって言えなかった。



「……やった……!やったよ…!」



「やった」と何回も言って、夕里は肩を震わせている。



きっと泣いているんだろう。



夕里はすぐ嬉しくなると涙ぐむ。



それが私のことだと思うと、こっちまで嬉しくなる。



まさか卒業式にプロポーズされるなんて、思わなかった。



でも夕里の奥さんになれるんだ、私。



名字も芹田になるんだよね?



芹田李……
なんだか聞きなれない。



でも悪くはない響きだ。


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