だんご虫ヒーロー。
夕里は私の左手薬指に指輪をはめる。
今度は左手に光る、指輪。
また夕里にサプライズをやられてしまった。
元は私がサプライズやろうと思ってたのに。
こうなったら……
スーツのポケットからチケットを取り出して、夕里に見せる。
「…夕里がパリに帰る時は、一緒に行くからね?」
「……え…?」
今まで嬉しそうに笑っていた夕里は驚いて、チケットを見る。
チケットは2枚。
どちらもパリ行きで、席は隣。
夕里はどういうことなのか、分かっていないよう。
「…私、フランスの大学に合格したの。
だからこれからずっと一緒にいられる」
ニコッと夕里に笑いかける。
夕里はみるみるうちに笑顔になってきて、また目に涙を溜めた。
私も夕里の涙に釣られてもらい泣き。
「…ふっ、夕里また泣いてる」
「…だって嬉しくて……」
そういう李だって泣いてるよ?
夕里は私の目に溜まる涙を手で優しく拭ってくれる。
私のお返しとして、夕里の涙を拭ってあげる。