だんご虫ヒーロー。
入籍はしてたけど式は挙げなかったし、私と夕里は互いの夢を目指して努力の日々だったから。
「さ、早くケーキ入刀しろ!」
尾口先輩が赤いリボンの巻かれた包丁を持ってきた。
え、ケーキ入刀するの!?
どうしようかオドオドしていると、夕里が私の手を握って包丁を持った。
驚いて夕里を見ると、夕里はふっと微笑んでる。
「…せっかくだし、やろ?」
そうだよね。
せっかく皆が用意してくれたんだし、こんなお祝い二度とないだろうし。
私はコクリと頷くと包丁を握り、ケーキに切れ目をいれた。
すると皆が拍手をしてまたおめでとうと言ってくれる。
どんなにお金をかけた結婚式よりも、こうやってお祝いしてくれる方が遥かに嬉しい。
「「…すもも!すもも!」」
私を呼ぶ声がして下を見ると、3歳の祐(たすく)くんと優(すぐる)くんが2人でプレゼントを持っていた。
祐くんと優くんは綾女と尾口先輩の子供で、双子。
私はしゃがんで祐くんと優くんの目線に合わせる。
「…これ、あげる!」
「ありがとう」
私は笑顔で受け取る。