キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
1◇大人なんだろ?

食事の後、私は会長と蘭さんと一緒に玄関でお父さんを見送った。

いつまでも申し訳なさそうな顔をするお父さんを心配させないよう、私は笑顔でこう言った。


「私なら大丈夫!蘭さんも蓮さんもとってもいい方だもの!花嫁姿、楽しみにしててよね?」


――もちろん、強がり。

本当は不安ばかりだけど、私が我慢すれば家族が救われるのだから、頑張らなきゃ……


「カンナ……」


お父さんは最後に一度深々とお辞儀をして、四ノ宮家を去った。

ふう、と無意識にため息をこぼすと、蘭さんが私の肩にそっと手を置いて言う。


「将来自分の義理の父になるかもしれないきみのお父様の見送りすらしない蓮で、本当にいいの?」

「…………」


――そう、私はこれからの一週間を同じ部屋で過ごす相手を、蘭さんではなく蓮さんに決めたのだ。

蓮さんは明らかに結婚なんてどうでもいいという感じだったけど、私はたとえ政略結婚でも頑張れば幸せになれるんじゃないかって、かすかな希望を持ってる。

だから、一緒に過ごすうちに蓮さんもそうなればいいな、なんて……

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