キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
「私に、できることはあるんでしょうか……」
うつむきがちに呟くと、執事さんが私の前に、フルーツのたっぷり乗ったヨーグルトを置き、穏やかな声で言った。
「奥様が不在の間、食事は私が作るように仰せつかっていますが……カンナさんに、その手伝いをしてもらっても?」
「料理の、お手伝い……?」
「ええ。傷ついた蓮様のお心を癒すのは、日常のほんのささいな気遣いかと思います。
だからカンナさんが蓮様の好物をお作りになったら、お喜びになると思いますよ?」
好物、か……
確かに、私もブルーな気分の時には大好きなチョコを食べると復活するもんなぁ。
そういうことなら蓮さんの好きなもの……作ってあげたいけど。
「あの、私……実は料理は大の苦手で」
「さようですか。それでは、私が特訓して差し上げます」
相変わらずにっこり微笑む執事さんだけれど。
その瞳の奥がぎらついていたのは、私の見間違いでしょうか……?