キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
3◇無理すんじゃねぇよ
カーテンから差し込む朝日が眩しくて目を覚ますと、目の前にあるのは蓮さんの背中ではなかった。
背中越しよりも確かに感じる彼の鼓動……
もしかして、ここは……
蓮さんの腕の中?
一気に覚醒した私は全身が熱くなるのを感じ、慌ててそこから抜け出そうと試みた。
けれどどんなに身じろぎしても、背中に回された腕は決して私を離してはくれない。
どうしよう……これはもう、本人に起きてもらうしかないよね?
「蓮さん……」
手始めに小さな声で呼び掛けても、彼は全く起きない。
「蓮さん……朝ですよ?」
「んー……」
あ、起きたかも……?
なんて、ほっとしたのもつかの間。
蓮さんははますます私を強く抱き締めて、さらには顔を私の髪に埋めた。
れ、蓮さん……!?
「蓮さん!!昨夜何もしないって約束したじゃないですか!!」
彼の胸をドンドン叩きながら叫ぶと、ようやく私を包んでいた温もりがゆるりと離れた。