キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
知らず知らずのうちに浮かんだ涙で揺れる視界の中で、蓮さんが苦笑するのがわかった。
「……まーた泣いてんのかよ」
「だ、だって……」
「俺に抱き締められたことが嬉しくて、か?」
「ち、違います……!蓮さんが、本当の自分を見せてくれた気がして……っ」
もちろん、あんな風に抱き締められたことは嬉しかったけど、私が知りたいのは、触れたいのは、蓮さんの心……
それに近づけた気がしたから、私は嬉しいんだ。
「本当の俺……?」
「はい。蓮さんは口では意地悪なことを言いながら、根はとても優しい方だと思うんです……」
「……お前の思い込みだ」
「いいえ、蓮さんは優しい……私はそう思います」
真っ直ぐ、挑むように彼の目を覗き込むと、彼は観念したようにため息をついて言った。
「変な女だな、お前」
「蓮さんの妻となる女ですから」
「……言うじゃねぇか」
そう言って意地悪そうに微笑むのが相変わらずよく似合う蓮さんだけど、私はもう彼を怖がったりしない。
蓮さんは過去のことできっと不器用になっているだけ……
ねぇ、蓮さん。
私にもっともっと、あなたの本当の姿を見せて下さい……