キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
「私、行きます」
そう返事をすると、蓮さんは穏やかに笑って、けれど意地悪を言うことも忘れなかった。
「お前は色気がないから、あまり露出の多いドレスはやめておけ。恥をかくからな」
「ひ、ひどい……そりゃ、色気がないことは認めますけど」
「変な男が寄ってきても困るし……」
「……何か言いました?」
「別に」
蓮さんはそう言って寝返りをうち、私に背を向けてしまった。
――私、本当は聞こえていた。
でもあの蓮さんがそんな嫉妬じみたことを言うなんて、びっくりするやら恥ずかしいやらで、聞こえてない振りをしてしまったのだ。
「蓮、さん」
「……なんだ」
今の彼なら、受け入れてくれる気がする……
私はほんの数日の間に芽生え、そして現在進行形で急速に育っている想いを伝えようと口を開いた。
「私……蓮さんのことが……好き、です」
小さな声だったけど、ちゃんと聞こえていたと思う。
目の前にある彼の背中が、ぴくりと震えたような気がしたから。