キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
だけど蓮さんは何も言わなかった。
寝ちゃった……?
「蓮さん……?」
「カンナ……早く寝ろ」
あ、起きてた。
でも、私の告白は無視……?
私は不貞腐れて、蓮さんの広い背中に指を滑らせ文字を書いた。
“バカ”
「……誰がバカだ」
「蓮さんに決まってるじゃないですか」
きっぱりと、あからさまに不機嫌さを滲ませた声で私は言った。
すると目の前の体がくるりと向きを変え、私を押さえ込むようにぎゅっと抱き締める。
「蓮さん……ずるい」
告白には答えないでこんなことするなんて……
胸のドキドキだけが膨らんで、どう受け取ったらいいのかわからない。
「もう少し……時間をくれ」
しばらくすると、蓮さんには似合わない頼りなげな声が頭上にこぼれ落ちた。
「時間……?」
「……お前の気持ちに応えてやれるのか、自分でもまだわからないんだ。
俺は今まで女運が悪くて、ろくな恋愛をしたことがない。
だから……せっかく気に入っているお前と、これ以上深く関わるのが怖い」
蓮さん…………