キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
「全く……鈍臭ぇな」
蓮さんが歯に衣を着せない物言いをすることは重々承知だけれど、弱った心にその言葉は結構堪える。
私ははらはらと涙をこぼし、せっかくのドレスにたくさんの水玉模様を作ってしまう。
「――カンナ、ここは家じゃねぇんだ。泣くことよりも、この状況をどうやって打破するか考えろ」
私の傍らにしゃがみこみ、目線を合わせた蓮さんが言う。
「お前、気分が悪い振りして端の椅子にずっと座ってろ。そのドレス、スカートが長いから座ってれば足が見えないだろ?」
「え……でも」
「その間に代わりの靴を持ってくるよう今から家に連絡を入れる。靴が来たら、お前は元気になったことにして俺の隣に立てばいい。……挨拶はそれからでも間に合う」
――蓮さんって、外ではこんな顔をするんだ。
家にいるときの、意地悪な顔や優しい顔……たまに浮かべる照れたような顔。
そのどれとも違う、頼もしくて真剣な表情……