キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
「わかったら、行くぞ」
「は、はい!」
シャキッと背筋を伸ばして、立ち上がろうとした時だった。
突然ふわりと、私の体が宙に浮いた。
これはもしかして……お姫様抱っこ?
「れ、蓮さん……恥ずかしいんですけど!」
「しょうがないだろ、その靴じゃ歩けねーし」
「で、でも!」
「ちゃんと掴まってろ。落ちたらまた笑われんぞ」
ぐ、と言葉に詰まる私に、蓮さんは凛とした声でこう言った。
「――お前はお前らしく堂々としてればいい。必要以上に自分を良く見せようとすると絶対にぼろが出るからな。それにお前は……今のままで充分、いい女だ」
「蓮さん……」
「だから涙はもうしまっとけ」
「……はい!」
蓮さん……きっと本心で言ってくれてるんだ。
だって、目の前にある彼の耳が、ほんのり紅く染まってる。
私は私らしく……それでいいんだ。
蓮さんの言葉で自信を取り戻した私は、お化粧が崩れないようそっと涙を拭うと、蓮さんの体にしっかりつかまって会場を目指した。