キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
蘭さんはああ言ってくれたけど、できれば彼には甘えたくない。
自分で決めたことだもの。
これから一週間、私は蓮さんと……
「――――遅かったな」
扉を開けた瞬間に浴びせられた冷たい声に、思わず体がビクッと震えた。
黒を基調としたスタイリッシュなインテリアの中心にあるソファで、長い脚を組んでこちらを見据えているのはもちろん……
「ごめんなさい、蓮さん……でも、父としばらく離れるのだから、見送りくらいゆっくりさせてもらっても……」
「しばらくって。たかが一週間じゃねぇか。ガキかよお前」
……む。やっぱり冷たい。
「……ガキとは失礼ね!もうすぐ私だって22よ?立派な大人なんだから!!」
「へぇ……じゃあ確認してやろうか?」
蓮さんが立ち上がって、こちらに近づいてくる。
その顔に浮かんだ意地悪そうな笑みがなんだか怖くて後ずさると、腕を捕まれて逃げられなくなってしまった。