キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
たくさんの料理と人波をぬって、蓮さんは私を会場の壁際にある椅子のうちの一つに運んでくれた。
その間、もちろん彼に抱き抱えられてる私は注目を集めていたけど、誰かに何か聞かれる度に蓮さんが嘘の説明をしてくれた。
「彼女どうやら車に酔ってしまったみたいで……回復したら改めて挨拶に伺わせて頂きます」
私はつとめて元気のなさそうな表情を作り、彼らに「申し訳ありません……」と言うだけでよかった。
そしてしばらく休ませてもらっていると靴が到着し、会場をこっそり抜け出して執事さんからそれを受け取ると、私は蓮さんの元に戻って彼の上司や先輩に次々挨拶をして回った。
「――この男は私ども幹部にも、物怖じするということを知らない。困ったものだと言いたいところだが、その発言はいつも的を得ているのだから大したものだよ。カンナさんと結婚して、ますます成長するのを楽しみにしているよ」
恰幅のよい常務さんがそう言ってくれたのをはじめとして、蓮さんは先輩にも上司にもかなり信頼されているようだった。
私はそれを知る度に、やっぱり蓮さんは素敵な人だという想いを深め、彼の隣で微笑んだ。