キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
「俺はお前を泣かせてばっかだな……」
天井に向かって、蓮さんがぽつりとそう漏らす。
「そんなこと……!」
「でもそれも、今日で終わりだ」
そう言ってこちら側に寝返りを打った蓮さんが、真剣な眼差しで私を見つめた。
「カンナ」
「はい……」
「お前のことは俺が幸せにして見せる……必ずな」
その言葉で私がまた涙を流し、蓮さんを困らせたのは言うまでもない……
その夜は二人きり、一晩中手を繋いで眠った。
本当は蘭さんが宿泊の予約をしていたというその部屋は、朝になってみるととんでもなく豪華な部屋だということに気づき、私は子供のようにはしゃいだ。
蓮さんはそんな私を口では馬鹿にしながら、とっても優しい瞳で見守ってくれていた。
幸せな気持ちで焼きたてのクロワッサンとカフェオレのルームサービスを取り、今日も仕事だと言う蓮さんと別れて私は一人、タクシーで四ノ宮家へと戻ったのだった。