キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
夕食の時も部屋で二人でいるときも機嫌の良かった蓮さんなのに、お風呂から上がって部屋に帰ってきたときには何故か目付きがキツくなっていた。
まるで初めて会ったときみたい……どうしたんだろう。
「蓮さん……何を怒ってるんですか?」
これっぽっちも悪気のない質問だったのに、蓮さんはますます彼の周囲に漂わせるオーラを邪悪な色に変えた。……気がした。
「……聞いたぞ」
「聞いた……?何をですか」
「風呂」
「風呂?」
「蘭」
「蘭……あ!ま、まさか」
聞いちゃったんだ!蘭さんに!
どっちを……?
ハダカを見られたこと?
人工呼吸されちゃったこと?
怯える私を一瞥して、蓮さんは苦々しく舌打ちをする。
こ、婚約者に舌打ちはひどいよぉ……私だって、ああなりたくてなったわけじゃないのに。
泣きそうになって俯いた私の顎を、蓮さんの手が強引に持ち上げ間近で視線を合わせてきた。
「――お前のカラダは俺のだ」
体の奥がぞくりと疼く、そんな言葉とともに――――。