キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
「あ、あの……っ!」
「消毒しねーと……まずは、この唇」
「ん、ぅ」
強めに押し付けられた唇は彼の怒りの度合いを示しているかのように熱くて、少し乱暴に私の唇を挟んだり吸ったり、激しいキスを仕掛けてくる。
呼吸が苦しくなって蓮さんの胸をドンドン叩いても全く効果はなく、脳に酸素が行き渡らなくなってきて私は蓮さんの腕にしがみつく。
「その顔……蘭にも見られたか?」
目を細めて、自分の唇の端にはみ出した唾液をぺろりと舌で拭った蓮さんが訊く。
「わ、かんな……い、です。私、気を失って……いた、から」
「……そんなんじゃ本当にキスだけで済んだのかわかりゃしねぇな」
「まさか……あり得ない、です」
「蘭を庇うのか?」
……今日の蓮さん、怖い。
出逢ったばかりの頃の単なる意地悪とは違って、今回は本気で怒っているみたいだ。
私は自分を睨む蓮さんをまっすぐに見つめ返しながら、その瞳に問いかける。
どうすれば、怒りをおさめてくれますか……?