キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
先に視線をそらしたのは蓮さんの方だった。
私の目を見ないまま、何かを堪えるような表情で言う。
「――今日は、お前一人でベッドを使え」
その言い方が私を突き放すように聞こえてしまって、急に寂しさに襲われた私は縋るように彼の服を掴んで言う。
「どうしてですか……?私、今夜も蓮さんと一緒に眠りたいです」
「無理だ」
「だから、その理由を……!」
私がしつこく問いかけると、忌々しそうに前髪をかき上げた蓮さんがようやく私の目を正面から見つめてくれた。
最近見せてくれるようになった、柔らかい表情を浮かべて。
「昨日した約束……破りたくねぇんだよ」
「約束……?」
「今、お前と一緒に寝たら……俺はお前を泣かせるようなことを必ずする。本当は俺だってゆっくりお前がその気になるのを待っていたいが、蘭にお前の身体を見られたと思うとそんな余裕がなくなる。
だから、今日は……俺の側に居ると極めて危ねぇんだよ。わかったか?」
……そういうこと、だったんだ。
私が昨夜蓮さんに押し倒されて涙を流したから……蓮さんは私にもうそんな思いをさせないように、別々に寝ようって言ってくれているんだ。
本当に不器用で……でも、やっぱり優しい。私はそんな蓮さんだから好きになったんだ。
頑張って、彼の気持ちに応えたい……
「蓮さん……今夜一晩別々に寝て、私、その間に覚悟を決めようと思います」
「覚悟……って、お前まさか」