キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
急いで着替えてメイクをしたのに、リビングに戻るとそこに蓮さんの姿がなかった。
「あれ……?蓮さんは?」
「たぶん、洗面所だと思うけど……そうだ。カンナちゃん、音を立てずにそっとドアから蓮のこと覗いてみてごらん?面白いものが見られると思うよ」
面白いもの……?
なんだろう、と思いながら廊下を忍び足で歩き、洗面所の前まで来るとほんの少しだけ開いたドアの隙間から、中の様子を窺う。
私がそこで見たのは……
「くそ……なんでここは上手くハネないんだ?」
蓮さんが鏡に向かって語りかけながら、髪型をセットしているところだった。
「っだぁーもう!せっかくカンナと初めてのデートだっつーのに!!」
ぐしゃぐしゃ、と両手で頭を掻く蓮さん。
私とのデートのためにそんなに張り切ってくれているんだと思うと嬉しくて、胸がきゅんと音を立てる。
私はどんな髪型の蓮さんだって好きなのにな……
それからしばらく彼を見守っていると、鏡の中の瞳がこちらを睨んでいるのに気がついた。
もしかして、ばれてる……?