キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
私は斗真くんが何か誤解してると思い、慌てて否定する。
「斗真くん、それは違うの。私、本当に蓮さんのお嫁さんになりたくて……!」
「無理しなくていいよカンナ。それもこの男に取り入るための演技なんだろ?ねえ、もうそんなことしなくていいから俺と結婚してくれないか?
好きだったんだ、ずっと……カンナのこと。俺と結婚してくれれば、お父さんにたくさんのお金を貸してあげるよ」
確かに、斗真くんの家は資産家だからそれくらいわけないだろう。
だけど、今はそういう問題じゃない。
「何言ってるのよ、斗真くん……」
「カンナのお父さん言ってたぞ。双子の兄の方ならともかく、弟と結婚するハメになったらカンナが可哀想すぎるって。でも、それが現実になってしまいそうなんだろ?
目付きが悪いからすぐわかったよ、アンタが弟の方だって」
「――やめて!!」
もう、止めてよ……
蓮さんのことを悪く言うなんて、いくら斗真くんでも許せない……
やがて流れるのは気まずい沈黙。
歩道の真ん中で異様な雰囲気を放つ私たちを、道行く人が冷ややかな目で見ながら通りすぎて行く。