キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
私は、そんな蓮さんもまるごと愛したいの……
やっと蓮さんとの間に結ばれた絆がこんなことで壊れるなんて絶対に嫌だ。
「じゃーな、カンナ。お前と過ごした数日間……なかなか悪くなかった。お前はもう自由の身だ。あとは……勝手にしろ」
捨て台詞みたいに言って、私たちに背を向けた蓮さん。そのまま早足で、休日の人波に飲み込まれていく。
私は服の袖でゴシゴシ涙を拭い、彼を追いかける前に斗真くんを正面から見つめた。
「斗真くん」
「なに?あ、早速お互いの両親に挨拶しに行こうか」
昔はもっと、優しくて頼れる人だったのに……今の斗真くんのことは、キライだ。
私の大切な人を、とてもひどい方法で傷つけたから。
私は一歩踏み出し、彼の耳を力の限り引っ張った。
「いっ……痛てっ!なにするんだよ!カンナ」
「蓮さんの心の痛みはこんなもんじゃないんだから!!」
私はさらにその耳に唇を寄せて大きく息を吸い込み、思いっきり叫んだ。
「斗真くんの、バカーーっ!!」
どさ、と地面に尻餅をついた斗真くんを見捨てて、私はすぐに蓮さんの歩いていった方へ駆け出した。
早く早く、傷ついた蓮さんを抱き締めてあげたい。
そんな想いを、募らせながら。