キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
結局追い付くことができたのは蓮さんが四ノ宮家にちょうど帰宅するところで、息を切らせながら「蓮さん!」と叫ぶ私を見て、彼は驚いた表情を浮かべた。
「お前……!なんでここに帰ってくるんだ」
「だ……って……っ」
膝に手をつきながらはぁはぁと呼吸を整え、一度深呼吸をした私は言った。
「斗真くんやお父さんになにを言われても……私は蓮さんが好きなんです。
信じてくれなくてもいい。だけど聞いてください。
……好きです、蓮さん。大好きです。だからまだお別れしたくありません……」
「カン、――――」
蓮さんが言い終わる前に彼に抱きつき、腕にぎゅうっと力を込めた。
言葉が信じられないのなら、私の心臓の音を、聞いて。
こんなに好きと言っているのが、聞こえますか?
あなたの温もりを喜んでいる音が、聞こえますか?
目を閉じて心の中で蓮さんに呼び掛けていると、私の背中にゆっくり蓮さんの腕が回された。
それは次第に力強く、私を包み込んで……
見上げれば、蓮さんの瞳が輝きを取り戻していた。