キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
蓮さんはそこで言葉を切り、グラスの水を一口のんだ。
そしてしばらく視線を泳がせて何か考えてるみたいだったけれど、意を決したように私を見つめると言った。
「俺は言葉が下手だからな……お前が不安にならないようにできるだけ大きなダイヤを、と思ったんだ。
俺だってそんなもんで愛情が計れるわけじゃねぇと分かってるさ。けど、少しはお前に喜んでもらえるかと思ってな。
……でも、結局俺の自己満足に過ぎなかったってことか」
目を伏せて寂しげに笑った蓮さん。
そういう理由で選んだのなら早く言ってくれればいいのに……本当に不器用な人だ、蓮さんは。
「蓮さん」
「……なんだ」
「蓮さんの気持ちはわかりました。でも、ダイヤの大きさはあの半分でいいです。その代わり、二人で一緒にはめるマリッジリングを作るときには、とびきりいいものにしましょう?」
ね?と微笑んでテーブルの上の彼の手を握ると、蓮さんは照れたように唇を噛み、「わかった」と頷いてくれた。
少し言葉足らずな蓮さんとのこんなやり取りにもすっかり慣れてきて、ようやく恋人らしくなってきた私たち。
なのに、目を背けられない事実がひとつ。
あの部屋で蓮さんと一緒に過ごせるのは
今日で最後……