キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
もともと一週間という約束だったのだから、分かっていたことじゃない。
一緒に暮らさなくたって、もう蓮さんとは恋人同士なんだからいつでも会いたいときに会えばいいじゃない。
そう思おうとしても、切なさは増すばかりで……
四ノ宮家に帰るとより強く“今夜で最後”という事実が胸に重くのしかかってきて、私は明らかに口数が減っていた。
優しい蓮さんはそのことにすぐ気づいて、ソファの上で膝を抱える私の隣に静かに腰を下ろした。
「カンナ、そんな顔するなよ。明日親父達が帰ってくるまではここに居られる」
「……わかってます」
「分かってる奴の顔じゃねえだろ」
蓮さんがため息混じりに言って、私の頬を両手でむにっと引っ張った。
きっと変な顔になったんだろう、蓮さんがぷっと吹き出す。
それを見てたら私の心も和んできて、つられるように笑顔になった。
「やっと笑ったな。お前にはその顔が一番似合うから、いつも笑っとけ……俺の隣で」
「蓮さん……」
最後の夜にそんな優しいこと言うなんてずるいよ……
笑えって言われたのに、泣けてきちゃうじゃない。
私はずず、と鼻をすする。