キケンな花嫁修行〜結婚相手が二人!?〜四ノ宮蓮編
「いつまでそうしてるつもりか知らねーけど、俺はもう出勤するから。じゃあな」
「え――――」
ガバッと布団から出ると、ちょうど蓮さんが扉から出ていくところで、私は慌ててその後を追った。
だって、奥さんなら見送りとかするものでしょ?
パタパタと玄関まで駆けていくと、執事さんから荷物を受け取る蓮さんが、怪訝そうに私を見た。
「……何か用か?」
「はい!行ってらっしゃいを言おうかと」
「は……?」
「蓮さん、今日もお仕事頑張って下さい。お気をつけて行ってらっしゃいませ」
ぺこっと頭を下げてから顔を上げると、蓮さんは目を丸くして私を見てた。
それからふっとほんの少しだけ笑うと「行ってくる」とだけ言って、四ノ宮家をあとにした。
「カンナ様……でしたかな?」
「あ、はい」
不意に、横に立っていた執事さんが私に話しかけてきた。
「これからもどうか今のまま、蓮様に優しくしてあげて下さい。あの方も、本当は優しい心の持ち主なんです」
目を細めて、昔を懐かしむように話す執事さん。
この人なら、蓮さんの昔の姿を知ってる……?
「あの……蓮さんはいつからあんな風に?」