再生ゲーム・山田拓也のエンディング
 腰に回された両手。


背中にしがみついた、りりかの温度が十分すぎるほどに伝わってきた。


「……タクシーを拾う」


「私も行く! ……綾ちゃんを守りたいの」


車を拾うために片手をスッとあげた。もう片方の手は携帯を握り締め、耳にぴったりと張り付いていた。1秒たりとも鼓膜からは離せない。


――風俗で働く女が私の母親なんて絶対に認めない!


綾の苦しそうな、絞り出す悲鳴が届く。


――風俗……井上七海……


「うえ!!!!」


胃が縮小し、胃液がこみ上げる。


そんな女と俺は結婚し、何度も抱いていたなんて……。
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