サクラ咲く
翌日、案の定大輔から追い出しを食らって如月のマンションに連れて来られた。


予定通り?


…多分ね。




「かのこ、晩飯たまには外食しよう。」


それが予定とは違う事だった。


「え?食事の支度しますよ?」


そう言うと如月は笑いながら首を横に振ったのだ。


「たまにはいいだろ。
デートしよう、俺と。嫌か?」


…いや…ではないよね。

デートなんてしたことないから。



「嫌じゃないです。でも勿体無い。」


そうやってずっと家事をこなしてきた。

だから、かのこは同世代の女の子に比べて家庭的なのかもしれない。


「勿体無い?」


如月は首を傾げた。
意味がわからないらしい。


「作ればお金も無駄にならないです。」


そうハッキリ言うかのこを見て、如月は力なく笑う。


「かのこのために使うお金を無駄だとは思わない。」


言い切られてしまうと、そうなのかな、と思う。


デートのために使うお金は無駄ではないのかな。
そんなもの?


「わかりました、じゃあそうします。」


かのこが微笑むと、如月がほっと息を吐いた。


「どうかしました?」

「いや。」


荷物を部屋に置くと、再び2人で車に乗りデートだという如月について行くことになった。



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