サクラ咲く
何か緊張した様子の如月を横目に。


いつもより大きく膨らんだバッグを膝に抱え直す。


どのタイミングで渡そうか、悩んでいた。



プレゼントなんて贈ったことがない。


だから、どう渡すかなんてわからなかったのだ。


それより、どこに向かってるのか。


それが今は不安だった。


「如月さん、どこに向かってるんですか。」


真っ直ぐ前を見つめる彼の横顔は、綺麗だ。


この人があたしを好き?


大輔はそう言うけど、違う気がする。
好きじゃなくて、ただからかってるだけ。


そんな感じ。



かのこのバッグの中には、前に貰った指輪も入っている。

チャンスがあれば、返そうと思ったからだ。


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