サクラ咲く
「大学の同期に会ったの。
彼氏いるのか、っていきなり聞かれて不快だったから連絡してない。
それだけの話。大輔が勝手に思い込んでるだけじゃない?」



そう言うと、黙々と食事をし始める。


それ以上、会話はなかった。




食後にコーヒーを頼んで飲んでいた。


指輪を返せと言われたことが、こんなにショックだったとは。


指輪が惜しいんじゃない。

如月の気持ちが離れてしまっていたことが、淋しい。


……淋しい?


何故?
あたしの気持ちはどうなの?

ショックを受けたのは何故?


好きなの?


わからない。わからない。わからない。



そっと如月を見ると、真っ直ぐにかのこを見ていた。



愛しいものを見る、そんな優しい目をして…。


< 23 / 67 >

この作品をシェア

pagetop