サクラ咲く
第3章

カフスと指輪。

プレゼントをあげた。


仕切り直しで指輪を貰った。


彼女になれ、とまた言われ「ハイ」と返事した。


…でも何も変わらない毎日。


普通なら28の男と24の女がひとつ屋根の下に居ればそれなりの関係が出来上がるはず。


でも、何もない。


キスすらない。


9年前1回きり。


抱きしめたりはするけど、キスもないなんて変だわ。


そう、かのこは思っていた。


同時にホントに好きなの?という疑問が生じる。


いやいや、好きだからといってハイ頂きます、と取って食われたらそれはまるで兄の大輔のやることだ。



こんな感じでいいのかな、と思う反面、こんな感じがいい、と思う自分がいるのも確か。


〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜


スマホが音楽を短く奏でる。


メールだ、誰だろ。



タップして見て固まる。

…森下からのメールだった。


【金曜日の夜、空いてたら会わないか?】


たったそれだけのメール。


嫌な感じがするメール。


何故だろう。如月だって似たようなものなのに、何故だか嫌だと思ってしまう。


どうしよう…断りたい。


いつもの強気なかのこなら簡単に言えた。



でも…なぜか言えなかった。


これが間違いだった。


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