サクラ咲く
「かのこ、今日は帰っていいぞ。」


社長室から顔を覗かせて大輔が言う。

「え、でもこのデータ」
「急がないから、それ。泰斗が待ってるだろうから、帰ってやって。」


周りがニコニコしていて、返って恥ずかしい。


「一言余計です!社長‼︎」


デスクを片付け、パソコンを切る。

恥ずかしくてあんな言い方になったけど…本当は嬉しい。


左手の指輪があったかく輝く。


ご飯…何がいいかな。

風邪引いたりしてないかな。

早く顔を見たい。


「じゃ、お言葉に甘えて帰ります。お先に。」


デスクについていた社員が一斉に振り向く。

「頑張ってね!」
「生きて帰ってこいよ!」
「感想聞かせてね〜。」

…みんななに考えてるの。



「もう!そんなんじゃないったら‼︎」



きっと顔が真っ赤だ。


でも…嬉しかった。


自分達のことをみんなが応援してくれてる。



仲間っていいな、そう感じた。


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