サクラ咲く
第5章

美女と野獣。

「かのこ‼︎」




物凄い勢いでドアが開いた。


息を切らし、汗だくで髪を振り乱した状態の如月だった。



「居た…!」



ズカズカと近寄り、腕を引かれ抱きしめられる。



「馬鹿野郎!いきなり飛び出すとか…訳を言えよ‼︎」



…怒ってる。



そうだよね…怒るよね。



「なんで飛び出した?何があったんだ。」



ふわりと頬に触れた如月の柔らかい髪。

肩に乗せられた彼の頭が、吐息が、全てが、かのこを追い詰める。



「…美女が…」



小さな声で言う。




「は?」



間近にある彼の顔が、明らかに【?】の顔になる。



「如月さんの部屋から出て来た美女…」




力なく座り込む、大きな体。



どうして?



やっぱり…




「女じゃねぇ。」



「は?だって」


「あれは女じゃねぇよ。男だ…正真正銘、俺の兄貴だ。」







…………………………。







「えぇぇぇぇぇぇーーーーーーー⁈」




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