サクラ咲く
マンションに戻ると。


「何でてめぇが居るんだよ!」



そこに居たのは美女…もとい、お兄さん。


「あら、凄い言い様ね。」


…ん?この声…どこかで…。



「あ!この前の電話の人!」

ぶっきらぼうにかけてきて、如月いる?じゃあいいわ、の主だ!



「ご名答。斉藤さん。初めまして、泰斗の【姉】の海里よ。」



ことさら姉を強調して、お兄さん…海里さんは笑う。


「あたしを泰斗の女と勘違いしたんじゃない?そんな泣き顔でいるとこを見ると。」



…何故わかる。



「だからちゃぁんと誤解を解きに来たのよ。あ、ちなみにまだ身体は男のままだから。」



言うなり、かのこの手を掴み自らの股間に当てる。



「‼︎‼︎」



真っ青の泰斗、真っ赤なかのこ。
2人を見て、海里はからからと笑った。



「じゃあね、また会いましょ。かのこちゃん。」



去り際に頬にキス。


小さな声で”泰斗をよろしく”と…。



「てめぇ!かのこに触るな‼︎」



怒鳴る如月を笑いながら帰って行った。




…なんか…さっきまでの緊張がどこかに行っちゃった。



力なく座り込むかのこを心配そうに覗き込む如月。


優しい眼差しに、かのこは全て任せよう、と決意して抱きついた。




「ご飯の支度しなきゃなんないね。」

「そんなのは、後回し。先に…食わせろ。ずっとお預けだったんだ。


何年待ったと思ってる…食わせろ!」


抱き上げられ連れて行かれた如月の寝室。
初めて入るプライベートルーム。




「優しくするつもりだけど…辛かったら噛んだり爪をたててもいい。
嫌がってもやめられないから。」



ベッドに沈む身体。



包み込むように優しく抱きしめられる。




「いただきます。」



ニヤリと笑いながら言う彼に、かのこはどうぞ、とだけ小さく答えた。



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